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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻2号

1989年02月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病における陽性症状と陰性症状の相関—SANSとPSE使用による症状分析

著者: 染矢俊幸1 増井晃2 入谷修司3 藤井正也2 世一市郎3 飯田英晴1 高橋三郎1

所属機関: 1滋賀医科大学 2西山病院 3豊郷病院精神科

ページ範囲:P.123 - P.130

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 抄録 慢性精神分裂病患者101名を対象とし,精神分裂病における陽性症状と陰性症状の相関について検討した。陽性症状の評価には症状群チェックリスト(SCL)から8項目を選択して用い,陰性症状の評価には陰性症状評価尺度(SANS)を用いた。その結果,(1)SANSによる陰性症状の評価はこれまでの報告に一致して十分に高い信頼性を持つことが示された。(2)陽性症状,陰性症状ともに複数のグループに分けられたが,陰性症状間の内部相関は大であった。(3)因子分析の結果,情動鈍麻,意欲低下と快感消失,思考の貧困,幻聴・自我障害,陰性症状の主観的評価,注意の障害,妄想の7つの因子が得られた。陽性症状と陰性症状には負の相関は認められず,互いに独立であった。(4)陰性症状は,病型,適応,入院期間,治療形態,過去1年の就労歴,家族支持の有無と強い相関を示し,経過に重要な意味をもつ症状であること,患者のおかれている状況を反映していることが確認された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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