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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻2号

1989年02月発行

文献概要

研究と報告

外来精神分裂病患者の受療状況について

著者: 橋本俊明12 猪狩中1 金英雄1 石井一彦1 井上道雄1

所属機関: 1昭和大学医学部精神医学教室 2大内病院

ページ範囲:P.137 - P.143

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 抄録 1968年から1970年までの3年間に大内病院を初診した典型的な精神分裂病患者のうち受診歴のない141例を選び,初診後15年を経過した時点で,遡及的に,社会適応度,受療状況,生物学的要因,社会的要因,状況的要因などについて検討した。(1)初診から3カ月以内は外来治療の危機的時期である。(2)脱落には"治療関係の破綻"の他に,病状が回復し,漫然と通っている患者が,自ら中止するという場合も多いことが推察される。脱落後,医療との関わりが全く断たれないように,治療者側で中断の恐れがあることを意識して診療にあたるべきである。(3)長期間,寛解状態で外来通院をしている患者については,治療終結をすることも考えねばならないだろう。(4)初期治療を乗り越え,治療関係の破綻を防ぐためには,発病後早期に医療に結びつけるような地域的,組織的サポートシステム,外来施設の充実,外来治療の工夫,早期受診を促すような啓発活動が大切である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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