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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻2号

1989年02月発行

文献概要

研究と報告

デポ剤による分裂病外来治療—日仏地方公立精神病院での調査結果から

著者: 藤井康男1

所属機関: 1山梨県立北病院

ページ範囲:P.145 - P.151

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 抄録 地域受け持ち制(sectorisation)が実施されているフランスのバッサン公立精神病院のservice(BASSENS)とこのような制度を持たない山梨県立北病院それぞれで,経口抗精神病薬からデポ剤移行に伴う分裂病の外来維持成績を調査した。対象例は経口薬で2年半以上維持治療(平均経口期間はBASSENS9年4カ月,北病院8年7カ月)して,その後デポ剤によって2年半以上維持治療した症例(平均デポ療間はBASSENS9年10カ月,北病院6年6カ月)であり,症例数はBASSENS18例,北病院52例である。
 デポ剤への移行後,どちらの病院においても年間平均入院回数は有意な変化がなかったが,年間平均入院期間は有意に(P<0.01)減少した。従って,我が国でもデポ剤を用いた積極的な病院外治療を行うと,治療環境が優れている諸外国と同様な入院期間短縮効果を認めることが明らかになった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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