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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻2号

1989年02月発行

文献概要

研究と報告

抗精神病薬長期服用患者におけるAkathisiaの研究

著者: 阪本淳1

所属機関: 1宮城県立名取病院

ページ範囲:P.153 - P.161

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 抄録 精神病院に入院中で,精神分裂病の診断で抗精神病薬を1年以上継続的に服用している患者88名を対象に,一定の診断基準を用いてakathisiaの調査を行った。その結果,16名が確診例または疑診例に該当した。確診例の4名(4.5%)には明確な下肢の落ち着きのなさの訴えと特徴的な静止不能運動を認め,akathisiaと診断した。下肢の落ち着きのなさのみを訴える者は9名,主観的な症状は訴えないが,特徴的な静止不能運動が観察された者は3名で,それらの12名を疑診例とした。これら16名のうち,15名は最近1カ月以内の増量や変更と関係がない定常状態でakathisiaの症状がみられた。akathisiaの出現頻度は女性で有意に高く(χ2=4.75,p<0.05),akathisia群と対照群との間では服用している抗精神病薬の1日服用量などについては有意差は認められなかったが,平均年齢(t=3.92,t<0.025)と服用年数(t=4.41,t<0.025)はakathisia群で有意に高く,高年齢,女性,抗精神病薬の服用年数の長い患者でakathisiaが多くみられる可能性が推測された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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