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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻2号

1989年02月発行

研究と報告

女子中学生に集団発生した過換気症候群について

著者: 野口岩秀1 渡辺敏也2 小川俊樹3 永田俊彦1

所属機関: 1順天堂大学精神医学教室 2猿島厚生病院 3筑波大学心理学系

ページ範囲:P.163 - P.168

文献概要

 抄録 栃木県内の1中学校における運動部女子生徒9名に集団発生した過換気症候群について報告した。本事例はいわゆる「集団ヒステリー」と考えられ,以下のような特徴を有していた。1)主にハンドボール部内で伝播していった。2)症状が3年生から1年生に一方向的に伝播していった。3)多くの症例で発症に運動が関係していた。4)症例では年齢に比較してもやや未熟・依存的なパーソナリティが目立った。5)続発者の1例ではヒステリー傾向が強く,他の生徒に与えた影響が多かった。6)事例の終息には学校の休みの期間が重要であった。
 以上より,従来の報告と比較して事例の成立には集団の要因と個人の要因の重なり合いがあり,特に集団要因としての部活動が重要であると思われた。また,事例の中での「個」の病理と「集団」の病理の相互作用について考察を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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