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研究と報告
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抄録 初老期にみられる強迫—恐怖症状の精神病理学的意義について検討した。このためにまず「状況構成」(Tellenbach,H.)という概念を検討し,これを3つの段階に分けた。すなわち第1段階=いわゆる病前性格,第2段階=狭義の「状況構成」,第3段階=病的な「状況構成」の3つである。次に各症例について「状況構成」の諸段階を考察し,それぞれの段階に発症前段階,強迫—恐怖症状の段階,うつ状態の段階が対応していることを示した。最後に強迫—恐怖症状にとどまる症例とうつ状態へ至る症例との比較検討を,内的条件(自己領域)および外的条件(家族領域・職業領域)について行った。
この結果,初老期の強迫—恐怖症状は,うつ状態を回避するための「状況構成」のある段階を形づくっていることが明らかになった。かかる考察は,同じ時期にみられるうつ病の問題を考える上でも重要な手掛りを提供するものといえる。
この結果,初老期の強迫—恐怖症状は,うつ状態を回避するための「状況構成」のある段階を形づくっていることが明らかになった。かかる考察は,同じ時期にみられるうつ病の問題を考える上でも重要な手掛りを提供するものといえる。
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