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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻4号

1989年04月発行

文献概要

研究と報告

慢性精神分裂病患者におけるtemporal disorientationと簡易痴呆テストの成績

著者: 中川敦子1 鳥居方策1

所属機関: 1金沢医科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.363 - P.369

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 抄録 慢性分裂病の痴呆化(Verblodung)が狭義の痴呆に相当するか否かは,精神医学領域の古くて新しい命題の1つである。我々は先に慢性分裂病者の主観的年齢ならびに遠隔記憶の時間的秩序について検索し,分裂病者を1)自己の年齢を過小評価する群(D群),2)年齢評価は正確でも遠隔記憶の時間的秩序が極めて不良なもの(O1群),3)時間的秩序が明らかに不正確なもの(O2群),および4)それがほぼ正確なもの(O3群)の4群に区分して検討を行った24,25)
 今回は,これら4群の慢性分裂病者に,長谷川式,国立精研式,岡部式の各痴呆スクリーニング・テストおよびKohs立方体組み合わせテストを施行した。その結果,いずれのテストにおいてもD群の成績は最も不良であり,次いで,O1群,O2群,O3群の順に得点は増加し,記憶の時間的秩序と痴呆スケールの得点との間には有意な相関が認められた。本研究の結果を基に,分裂病の認知機能の障害と痴呆との関係について論じた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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