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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻4号

1989年04月発行

文献概要

研究と報告

慢性アルコール症者の夜間睡眠の特徴

著者: 新ケ江正1 毛利義臣2 千葉茂2 松本三樹2 武井明2 太田耕平1

所属機関: 1医療法人札幌太田病院 2旭川医科大学

ページ範囲:P.371 - P.377

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 抄録 離脱直後のアルコール症者6名と1年以上断酒しているアルコール症者13名に対し,終夜睡眠ポリグラフィを施行し,その睡眠構造の特徴を検討した。
 離脱後早期のアルコール症者の夜間睡眠の特徴は,①入眠潜時の延長,②全睡眠時間の短縮,③中途覚醒と段階1の増加,④徐波睡眠の減少などであったが,これらの所見の多くは離脱後第14夜には改善された。しかし,段階1の増加と徐波睡眠の減少は,離脱後第30夜においても持続していた。長期断酒者の夜間睡眠の特徴も,①段階1の増加と,②徐波睡眠の減少であり,離脱後第30夜におけるアルコール症者の結果との間に差は認められなかった。さらに,長期断酒者のうちの6名に対し,1年ごとに計3回の終夜睡眠ポリグラフィを施行したが,観察期間中,その睡眠構造に変化は認められなかった。これらの結果から,アルコール症者における睡眠構造の変化は非可逆性である可能性があると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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