文献詳細
研究と報告
文献概要
抄録 抗てんかん薬中止の問題は,系統的研究も少なく最も立ち遅れた分野と言える。著者は5年以上の発作抑制期間を持つ症例に,服薬中止を試み服薬中止基準につき検討した。(1)服薬中止に応じたのは38例(男10例・女28例),このうち2年以上の臨床経過観察期間が得られたのは28例で,再発率は25%であった。(2)服薬中止には,発作抑制期間が5年以上,発作存続期間よりも長いことが1つの目安になることがうかがえた。(3)服薬中止時脳波所見は,服薬中止の指標とならないが,再発を防ぐ上で中止後の脳波追跡が必要と考えられた。(4)てんかん分類・発作型,服薬中止年齢,発症年齢,初診時の発作頻度,家族歴・知能障害の有無と再発率の間に関連は認めなかったが,再発例では既存障害を有するものが多かった。
服薬中止は,患者にとって真の意味での治癒という期待がある反面,中止による再発は新しい苦痛であり,その中止については治療者と患者自身が十分検討し決定すべきと同時に,社会的・心理的・経済的など総合的な判断の下で行うべきであると考えられた。
服薬中止は,患者にとって真の意味での治癒という期待がある反面,中止による再発は新しい苦痛であり,その中止については治療者と患者自身が十分検討し決定すべきと同時に,社会的・心理的・経済的など総合的な判断の下で行うべきであると考えられた。
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