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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻5号

1989年05月発行

展望

再帰性発話をめぐる諸問題(2)—その失語学と精神医学的意味について

著者: 波多野和夫1

所属機関: 1国立京都病院精神神経科

ページ範囲:P.452 - P.457

文献概要

【ⅩⅠ】.RUの病変局在論
 全失語の病変局在を論じた研究は存在するが(例えば,Vignoloら,1986),RUに関する研究は少ない。
 Brunnerら(1982)およびWalleschら(1982)は「反復性言語行動」のCT病変部位について,Kornhuberら(1977,1979)の見解を継承し,特にその基底核との関連を研究した。彼らの定義する「自動症」と「RU」は,皮質病変だけでも基底核病変だけでも出現せず,ただ両者が組み合わさった時だけ,特に基底核とWernicke領野の両方を包含する病変例でのみ見出された。特にBroca領野については,それのみの病変でも,Broca領野病変に基底核病変あるいはWernicke領野病変を伴っても,「RUと自動症」は出現しなかった。彼らは基底核の「運動プログラム発生装置」(Kornhuber)としての役割とWernicke領野の代償不能な言語機能―Broca領野と基底核と補助運動野は言語機能に関して,その一つが損傷されると他の2者がその機能を代償するという仮説が提出されている(Brunnerら,1982)―との関連の中にRU発生機序を探索した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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