文献詳細
研究と報告
文献概要
抄録 治療中の危機の現象を通して森田療法の治療過程を検討する試みとして,治療中断,放棄を考えた体験ないし入院中最も苦痛と感じた時期の体験に関するアンケート調査を慈恵医大,鈴木診療所の2施設において計105名を対象として実施した。
その結果,両施設の間で軽作業期以降の危機とその克服の様相に顕著な相違を認めた。すなわち,慈恵医大においては,危機の内容として他患との対人的葛藤が中心となり,その克服には患者の内的な自己処理と共に治療者の因子が重要となることが多い。一方,鈴木診療所においては,作業を巡る葛藤が主となり,その克服に治療者が直接関与することは極めて少ない。この相違が,両施設の治療構造の差に基づくものであることを述べた。
その結果,両施設の間で軽作業期以降の危機とその克服の様相に顕著な相違を認めた。すなわち,慈恵医大においては,危機の内容として他患との対人的葛藤が中心となり,その克服には患者の内的な自己処理と共に治療者の因子が重要となることが多い。一方,鈴木診療所においては,作業を巡る葛藤が主となり,その克服に治療者が直接関与することは極めて少ない。この相違が,両施設の治療構造の差に基づくものであることを述べた。
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