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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻5号

1989年05月発行

研究と報告

森田療法における防衛処理の仕組みと治療構造の特徴について—箱庭療法との比較を通して

著者: 長山恵一12

所属機関: 1法政大学文学部 2東京慈恵会医科大学精神科学教室

ページ範囲:P.467 - P.475

文献概要

 抄録 箱庭療法の治療理論を援用しつつ,森田療法における防衛処理の仕組みと基本的な治療構造について論じた。精神分析の治療者は治療者・患者関係の中に転移という形で現れる患者の病理の破壊者でありながら,同時に他方では治療の場に安定した共感的雰囲気を醸し出す役割をも担っている。分析の治療者は心理的に相反するこれら二つの役割を自らの力で混乱なく区別し,処理していかねばならない。一方,箱庭療法や森田療法は箱庭とか作業といった道具を利用することで,上記の二つの治療的役割を無理なく区別し,患者の病理の解放や処理をそれら道具との「深いかかわり」の中で生起させようとする。森田療法は箱庭療法と同様,治療者が患者の病理を直接扱わないで済む分だけ,治療者が余裕をもって患者に接することができる。不問技法をはじめとする森田の様々な治療技法や構造は治療の場の共感的な雰囲気を安定的に保持し,患者を作業へと「深くかかわらせる」ようにシステマティックに組み立てられている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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