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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻5号

1989年05月発行

研究と報告

カンナビス精神病と犯罪

著者: 滝口直彦1 石川義博2 大河内恒1 永江三郎1

所属機関: 1八王子医療刑務所 2東京都精神医学総合研究所

ページ範囲:P.477 - P.485

文献概要

 抄録 カンナビス精神病下で窃盗を行った症例とカンナビス精神病下で暴力行為を行った症例について報告するとともに,従来わが国において議論されていなかった,カンナビス乱用と犯罪との関係について考察を加えた。
 文献的展望によれば,現在の時点では,カンナビスは攻撃性の発現や暴力犯罪とは無関係であるか,むしろ抑制するという説が有力である。しかしながら,カンナビス精神病など,ある特殊な状態においては,能動意識の低下から窃盗を行ったり,情性が欠如した中で攻撃性が昂進し,暴力行為を誘発する場合があることを述べた。また,以前わが国で発表されたカンナビス精神病の症例との類似から,カンナビスにも交差逆耐性が存在する可能性があることを述べた。
 今後,tetrahydrocannabinol(THC)を高濃度に含む特殊な大麻(シンセミラ)の流行と共に,カンナビス乱用が犯罪を引き起こす可能性が増加すると思われるので,注意を喚起したいと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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