文献詳細
研究と報告
カンナビス精神病と犯罪
著者: 滝口直彦1 石川義博2 大河内恒1 永江三郎1
所属機関: 1八王子医療刑務所 2東京都精神医学総合研究所
ページ範囲:P.477 - P.485
文献概要
文献的展望によれば,現在の時点では,カンナビスは攻撃性の発現や暴力犯罪とは無関係であるか,むしろ抑制するという説が有力である。しかしながら,カンナビス精神病など,ある特殊な状態においては,能動意識の低下から窃盗を行ったり,情性が欠如した中で攻撃性が昂進し,暴力行為を誘発する場合があることを述べた。また,以前わが国で発表されたカンナビス精神病の症例との類似から,カンナビスにも交差逆耐性が存在する可能性があることを述べた。
今後,tetrahydrocannabinol(THC)を高濃度に含む特殊な大麻(シンセミラ)の流行と共に,カンナビス乱用が犯罪を引き起こす可能性が増加すると思われるので,注意を喚起したいと思う。
掲載誌情報