icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻5号

1989年05月発行

研究と報告

抗精神病薬による「亜急性抑うつ反応」について

著者: 坂本暢典1

所属機関: 1北野病院神経精神科

ページ範囲:P.503 - P.510

文献概要

 抄録 急性精神病からの回復過程で生じる,Postpsychotic depressionなどといわれるエネルギー水準の低下した状態の中から,抗精神病薬の副作用によると考えられる症例を取り出して検討した。その中で,ここで抗精神病薬による「亜急性抑うつ反応」と呼んだ,以下のような特徴を持つ,薬物の副作用による抑うつ気分の存在を示した。その特徴は①抑うつ気分に対する苦痛が強く,不安・寂しさを伴う。②この抑うつ気分は,抗精神病薬の投与開始後1〜3カ月目に,軽躁的状態にひき続いて,急激に生じる。③パーキンソン症状を中心とする錐体外路症状を伴う。④この錐体外路症状も,投与開始後1〜3カ月目に,錐体外路症状のほとんど認められない時期のあとに,急激に生じる。⑤これらの症状は抗精神病薬の中止や減量ですみやかに消失する。さらに,この亜急性抑うつ反応の症状を検討するとともに,他の成因によるPostpsychotic depressionとの鑑別についても論じた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら