icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻5号

1989年05月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病様症状を呈した46XX男性の1例

著者: 市川宏伸1 内山真2 岸邦和3

所属機関: 1東京都立梅ケ丘病院 2東京都多摩老人医療センター 3杏林大学保健学部成人保健教室

ページ範囲:P.519 - P.525

文献購入ページに移動
 抄録 長期間にわたって,精神分裂病様症状を呈し,女性化乳房を有する,男子症例の染色体を調べたところ,46XXであった。臨床症状から,染色体が正常女子と同じで,両側睾丸を持ち,表現型が男子である症候群(46XX男性)と考えられた。精神症状は,これと身体所見が良く似ており,46XX男性との関連性が考慮されているKlinefelter症候群(染色体:47XXY)のそれと類似していた。この精神症状の基盤には,内分泌障害(身体的背景を持つ障害)が想定されており,これを示唆する1例として,性腺—下垂体—視床下部系の異常が挙げられている。Klinefelter症候群でみられる血中および尿中の性ホルモンの低値,睾丸の組織変性が,46XX男性でも知られており,本症例でも認められた。46XX男性では,精神分裂病様症状の報告はまだないが,Klinefelter症候群と同様の内分泌障害を持つ可能性があり,本症例の精神症状が,46XX男性に基づく特有のものと推測された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら