文献詳細
研究と報告
多彩な神経精神症状を呈しAlzheimer病が疑われたMitochondrial encephalomyopathyの1例
著者: 中村清史1 矢崎俊二2 谷治夫2 田所衛3 緒方明4 守屋直樹5
所属機関: 1東京海道病院 2聖マリアンナ医科大学第三内科 3聖マリアンナ医科大学第一病理教室 4熊本大学神経精神科 5慶応義塾大学医学部精神神経科
ページ範囲:P.651 - P.659
文献概要
その後筋力の低下,四肢の筋萎縮,小脳症状,けいれん発作およびミオクローヌス,錐体路症状や幻覚妄想・せん妄状態,易怒・刺激性亢進などの多彩な臨床症状がみられたため精査を行った。その結果血液および髄液中の乳酸・ピルビン酸の異常高値,筋電図所見で神経原性変化,筋生検で光顕・電顕像の異常を認めた。これらの検査所見と臨床症状の特徴から本症例はmitochondrial encephalomyopathyと診断されMERRFに属するtypeと考えられる。筋生検所見が異なる点で非定型と推定される。治療としてcoenzyme Q10の持続投与とリハビリテーションを強力に行った結果,筋力が回復し血中の乳酸・ピルビン酸がほぼ正常値へ復している。
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