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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻6号

1989年06月発行

研究と報告

多彩な神経精神症状を呈しAlzheimer病が疑われたMitochondrial encephalomyopathyの1例

著者: 中村清史1 矢崎俊二2 谷治夫2 田所衛3 緒方明4 守屋直樹5

所属機関: 1東京海道病院 2聖マリアンナ医科大学第三内科 3聖マリアンナ医科大学第一病理教室 4熊本大学神経精神科 5慶応義塾大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.651 - P.659

文献概要

 抄録 ミトコンドリア脳筋症mitochondrial encephalomyopathyの1例を報告した。症例は58歳の男性。50歳の頃から不定愁訴で神経症,自律神経失調症,うつ病などの病名で加療を受け,54歳に知的機能の低下を来たしCT所見で,脳萎縮像が認められ,Alzheimer病と診断された。
 その後筋力の低下,四肢の筋萎縮,小脳症状,けいれん発作およびミオクローヌス,錐体路症状や幻覚妄想・せん妄状態,易怒・刺激性亢進などの多彩な臨床症状がみられたため精査を行った。その結果血液および髄液中の乳酸・ピルビン酸の異常高値,筋電図所見で神経原性変化,筋生検で光顕・電顕像の異常を認めた。これらの検査所見と臨床症状の特徴から本症例はmitochondrial encephalomyopathyと診断されMERRFに属するtypeと考えられる。筋生検所見が異なる点で非定型と推定される。治療としてcoenzyme Q10の持続投与とリハビリテーションを強力に行った結果,筋力が回復し血中の乳酸・ピルビン酸がほぼ正常値へ復している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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