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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻7号

1989年07月発行

文献概要

研究と報告

Maternity bluesの臨床内分泌的研究

著者: 岡野禎治1 野村純一1 蒔田一郎2 蒔田晶子3 山口隆久4

所属機関: 1三重大学医学部精神科 2三重大学保健管理センター 3多度病院 4鈴鹿厚生病院

ページ範囲:P.725 - P.733

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 抄録 健康妊婦122名について心理的状況および甲状腺機能(T3,T4,FT4,TSH)と副腎皮質機能(血中cortisol)を,妊娠初期から産後1カ月まで縦断的に観察して,産後にmaternity bluesを発症した群と正常であった群における心理的状況と内分泌機能との差異,さらに産科的要因との関連について検討した。このうちmaternity bluesと診断されたものは14名(11.5%)で,産後1カ月後に産後うつ病と診断されたものは4名であった。maternity bluesの症状としては,涙もろさ,不安,抑うつ,情動不安定,困惑などを示すことが特徴的であり,またこのような症状は産後1カ月まで精神的な影響を残していた。甲状腺機能検査についてはいずれの時期においても両群の間に差異はなかったが,産後3〜4日目のcortisol値はmaternity blues群で有意に高く,maternity bluesの内分泌学的背景としては視床下部—下垂体—副腎皮質系の機能昂進があるのではないかと推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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