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研究と報告
悪性症候群の病態に関する考察—抗セロトニン薬が著効を示した症例から
著者: 山脇成人1 若宮真也1 岡田正範2 谷口千恵3 大谷美奈子3 盛生倫夫4
所属機関: 1国立呉病院精神科 2己斐ケ丘病院 3広島大学医学部附属病院集中治療部 4広島大学麻酔学教室
ページ範囲:P.735 - P.739
文献購入ページに移動症例は31歳の精神分裂病の男性。抗精神病薬の種類の変更(ブロムペリドールからハロペリドールへ)および抗パーキンソン病薬(プロメサジン)の併用中止が契機となって発熱,意識障害,錐体外路症状,自律神経症状などの悪性症候群を呈した。ダントロレンとブロモクリプチンにより治療したがその効果は不十分であったため,シプロヘプタジンを追加したところ著効を示した。本症例から悪性症候群の発熱や意識障害などに中枢(とくに視床下部)のセロトニン代謝亢進の関与が示唆された。また筆者らがすでに報告した動物実験結果を考慮すると,このセロトニン代謝亢進はセロトニン作動神経終末内のカルシウム代謝異常によると考えられ,視床下部での細胞内カルシウム代謝異常が悪性症候群の病態として重要であると考察した。
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