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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻7号

1989年07月発行

文献概要

研究と報告

抗精神病薬服用中の精神分裂病者の抗利尿ホルモン分泌動態—水中毒との関連において

著者: 更井正和1 東司1 松永秀典2

所属機関: 1小阪病院 2大阪府立病院精神科

ページ範囲:P.741 - P.747

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 抄録 抗精神病薬服用中の精神分裂病患者における抗利尿ホルモン(ADH)の分泌動態について調べた。その結果,分裂病群の血中ADHは対照群より低く,尿浸透圧も分裂病群が低いことが判明した。また,分裂病群の血漿浸透圧-ADH分布の回帰直線の勾配は対照群より小さく,分泌閾値も低かった。これは,今までに指摘されていない異常であると考えられた。これらの結果を基に水中毒のメカニズムとして,(1)中枢性の異常によるもの,(2)末梢性の異常によるもの,(3)中枢-末梢-系の異常によるものを区別した。特に(3)については,抗精神病薬服用中の分裂病者において,尿浸透圧の血漿浸透圧の変化に対する利得(△urine osmolality/△plasma osmolality)が小さく,体液浸透圧の恒常性を維持する機能に欠陥があることを指摘した。最後に服薬していない分裂病者の水中毒についても若干の考察を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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