icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻7号

1989年07月発行

文献概要

研究と報告

重篤な意識障害を示した水中毒の2症例—頭部CT所見とMannitol療法

著者: 榎田雅夫1 新井一郎1 樋口輝彦1 山内俊雄1 山縣博2

所属機関: 1埼玉医科大学精神医学教室 2毛呂病院精神科

ページ範囲:P.749 - P.756

文献購入ページに移動
 抄録 やせ願望から多飲して半昏睡状態を来たした接枝分裂病と,空腹,口渇からの多飲と一過性抗利尿ホルモン分泌異常症(SIADH)の合併から昏睡状態を来たした精神分裂病,各1例の水中毒を報告し,頭部CTスキャンの診断的意義とmannitolによる脳浮腫治療の重要性につき言及した。
 両例とも発症時の頭部CTスキャンで両側シルビウス裂,脳溝,大脳縦裂の消失ないし狭小化と,側脳室の狭小化を認め,びまん性脳浮腫と診断した。脳浮腫治療を目的に高張利尿剤のmannitolを投与して,多量の利尿と意識障害の著明な改善をみた。頭部CTスキャンのびまん性脳浮腫所見は診断,治療的に重要と考えられた。重篤な意識障害と神経症状,びまん性脳浮腫を認める水中毒例には脳浮腫治療を積極的に行うべきで,mannitolは有効な適応であることを強調した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?