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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻8号

1989年08月発行

研究と報告

精神分裂病の情報処理障害と陰性症状

著者: 高橋和巳1 池沢明子2 加藤雅紀1 増井寛治2 岡本克郎2 山田寛2

所属機関: 1曽我病院 2東京都立松沢病院

ページ範囲:P.807 - P.814

文献概要

 抄録 精神分裂病の情報処理障害を表す指標として,単純反応時間のパラダイムに出現するRTX現象(reaction time crossover pattern)と変動係数の異常を取り上げ,これらと陰性症状の関連を調べた。対象はICD-9により残遺分裂病と診断された患者30名および性,年齢をマッチングした正常対照群20名である。従来よりRTX現象は過程分裂病患者の60〜70%に,高危険児群の30〜40%に出現すると言われているが,我々の研究でも患者群の70%(30名中21名)に観察された。陰性症状との関連ではRTX現象(+)群は(-)群に比較して,陰性症状評価尺度の主観評価項目を除く25の下位項目のうち23項目で高得点を示し,このうち特に快感消失・非社交性の項目群で有意差を示した。また,患者群は全員が変動係数の異常を示し,この指標はさらに陰性症状の得点との関連が強かった。最後に,2つの情報処理指標と分裂病の自閉性及び重症度の関連について考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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