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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻8号

1989年08月発行

文献概要

研究と報告

リチウムとカルバマゼピン併用療法時の脳波所見とその臨床的意義

著者: 原田豊1 岸本朗1 浜副薫1 水川六郎1 杉原寛一郎2 久葉周作2 杉原克比古2 小林孝文3

所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神医学教室 2安来第一病院 3島根県立中央病院精神科

ページ範囲:P.823 - P.831

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 抄録 感情病圏内の疾患にてリチウム・カルバマゼピン(Li-CBZ)併用療法を受けている症例36名について,その安全性を調べるために,脳波検査を施行し,検討した。
 ①Li-CBZ併用時,異常脳波所見の認められたものは36例中31例(86%)であり,徐波化は30例(81%)に,発作性律動異常は9例(25%)に認められた。②併用時の脳波異常出現率とCBZの1日量との間に有意の関係(p<0.05)を認めたが,血中Li濃度やLiの1日量については有意の関係は見出されなかった。③α帯域波の所見としては,併用前の脳波所見と比較して,頻度の減少,振幅の増大,出現量増大がみられた。④併用時にみられる脳波異常はLiとCBZ,とくに後者によってもたらされる徐波の出現が強く反映されたものと思われ,α帯域波の変化についてもLiとCBZの相加的な影響が表れているものと考えられ,相乗的もしくは各々単独の脳波所見からかけ離れた所見は観察されなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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