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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻8号

1989年08月発行

文献概要

研究と報告

Diphenylhydantoinによると思われるAkinetic Mutismの1例

著者: 明石俊雄1 大沼悌一1

所属機関: 1国立精神・神経センター・武蔵病院

ページ範囲:P.833 - P.838

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 抄録 Diphenylhydantoin(PHT)の慢性中毒によると思われるAkinetic mutismの1例を報告した。症例は5歳時てんかん発作が初発し,Lennox症候群として治療を受けていた男性で,PHTの長期服用歴がある。33歳時精神運動性興奮を抑制する目的でレボメプロマジン50mgが筋注されたが,その後急性の小脳性失調症状が出現した。若干の寛解を示すも,結果的には不可逆的経過をたどり,無言,嚥下障害,痛覚脱失,両便失禁,などを主症状とするいわゆる寝たきりの状態に陥った。経過中,PHTなどの抗てんかん薬の血中および髄液中濃度は常に正常範囲内であった。PHTは現在でも最もよく使われる抗てんかん薬の1つであり,本例のごとき症例は稀ではあるが無視できない。PHTのCNSにおける副作用報告例と比較しつつ,その原因について考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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