文献詳細
文献概要
研究と報告
失行および失書を主徴とする1例—神経心理学的,脳局在の検討
著者: 横井晋1 堀口裕1
所属機関: 1沼津中央病院
ページ範囲:P.861 - P.867
文献購入ページに移動 抄録 54歳の女子,右利き,52歳頃より記銘力障害が著しくなった。入院精査の結果,神経心理学的に構成失行,観念運動失行,失書が著しく,これとともに時計,地誌,方位の失認が認められ,ゲルストマン症状群として手指,左右に若干の障害があり,失算が目立っていた。文字の読みは可能ながら文章の読みはやや困難であった。神経学的には一般動作がやや緩慢であること,右視野の欠損,左視野の狭窄がある以外に特に異常はなく,脳波は一般的徐波化を認め,CT scanにより左上側頭回,縁上回,角回に低吸収域があり,その他後頭葉鳥距溝の左右皮質領域に,また右内包の一部に小梗塞巣がみられた。
失書,時計,地誌,方位の失認について文献例と比較検討し,これら症状は患者にみられたゲルストマン症状群,身体図式の障害が背景となっていることが推測された。人の書字,模写,構成行為を考える上で,その機構としての図式を提案した。
失書,時計,地誌,方位の失認について文献例と比較検討し,これら症状は患者にみられたゲルストマン症状群,身体図式の障害が背景となっていることが推測された。人の書字,模写,構成行為を考える上で,その機構としての図式を提案した。
掲載誌情報