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文献詳細

雑誌文献

精神医学31巻9号

1989年09月発行

文献概要

研究と報告

治療経過中に特徴的なSPECT像を呈したてんかん精神病の1例

著者: 窪田孝1 地引逸亀1 山口成良1 辻志郎2

所属機関: 1金沢大学医学部神経精神医学教室 2金沢大学医学部核医学教室

ページ範囲:P.979 - P.986

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 抄録 左前頭側頭部の脳器質性変化を原因として発症した,てんかん精神病の症例を報告した。精神症状の発現機序として,左前頭側頭部にみられる発作性異常波より,temporolimbic systemのてんかん原性脳機能異常が考えられた。症状は意識レベルの低下を背景とした幻覚妄想,錯乱,興奮,汚言といった精神症状と,尿失禁,歩行障害,右手運動拙劣といった神経学的症状がみられた。SPECTによるrCBFの測定で治療経過により経時的な変化が得られ,左limbic systemのみならず,左半球の広い脳部位の機能障害による症状が考えられ,治療後に特徴的な関連脳部位でのrCBF低下が認められた。
 CBZによる治療が著効を奏したが,これは精神病様症状に対して,CBZの抗てんかん作用も含めたlimbic systemに対する特異的な作用機序によるものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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