icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻1号

1990年01月発行

研究と報告

長期通院分裂病者の社会適応と治療的背景

著者: 藤森英之1 分島徹2 坂口正道2 木崎康夫3

所属機関: 1東京都立墨東病院神経科 2東京都立松沢病院精神科 3積善会曽我病院

ページ範囲:P.19 - P.27

文献概要

 抄録 10年以上の「長期通院分裂病者164名(男68,女96)の社会適応状況と治療的背景」を検討した。著者らの資料の調査時点における平均年齢は50.5歳,平均発症年齢25.6歳,初診時の平均年齢30.4歳,平均罹病期間24.9年と最終退院からの平均経過年数は16.4年であった。統計的にはχ2検定で10年以上の通院患者は女性に,逆に20年以上の場合は男性に多く,同居と別居あるいは結婚歴には男女差はないが,同居群では女性に親以外のものとの同居が多く,発病前と発病後の結婚歴では女性に発病前の結婚が多かった。
 患者を支える家族には「逗留—寛恕型」,「節介—束縛型」,「役割—分担型」や「処世—教示型」が,配偶者には「共感・受容型」と「指示・助言型」のあることを述べた。就労状況は男女を含め84.3%のものが自立・半自立をしているが,長期通院患者の多くは対人接触や周囲の状況変化に「臨機応変」の対応が苦手で,対人交渉をあまり必要としなく仕事の内容に変化の少ない職場に適し,時に些細な出来事への反応が再燃・再発へと発展すること,治療者—患者関係における依存形成と薬物療法との関連を示唆した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら