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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻1号

1990年01月発行

文献概要

研究と報告

同調性の精神病理

著者: 渡辺登1

所属機関: 1国立精神・神経センター精神保健研究所

ページ範囲:P.37 - P.44

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 抄録 回復期以降,精神科患者はしばしば物わかりの良い態度を示すことがある。精神科患者の対人的折り合いについては,うつ病を中心に検討が加えられているが,他の疾患に関する言及は乏しい。そこで,同調性テストを用いて,神経症やアルコール依存症,うつ病,精神分裂病各25名の同調性を調査した。その結果,精神科患者の80%は対立場面で同調を示し,対照健常者の52%より統計学的に有意(p<0.01)に多かった。同調を示した割合が多かった精神疾患は,うつ病,神経症,精神分裂病,アルコール依存症の順であった。うつ病者の96%は同調を示し,他の3疾患患者合計の74.7%より統計学的に有意(p<0.05)に多かった。精神科患者はそれぞれの精神病理学的特徴を主な背景として同調あるいは非同調を示したと考えられた。治療者や家族は精神科患者が対立場面では同調しやすいことを理解したうえで,社会復帰を遂行できるよう援助すべきであると指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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