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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻1号

1990年01月発行

文献概要

研究と報告

脳下垂体前葉ホルモン(ネオプロセリン®)による神経性食欲不振症の治療—内分泌学的検索に基づいて

著者: 大谷正人1 村瀬澄夫2 山口隆久3 村瀬さな子4 柴原清与1 野村純一1

所属機関: 1三重大学医学部精神神経科 2三重大学医学部第一生理学講座 3鈴鹿厚生病院 4三重大学医学部公衆衛生学講座

ページ範囲:P.63 - P.69

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 抄録 神経性食欲不振症にて入院または外来治療を受けた31例のうち,9例に脳下垂体前葉ホルモン製剤(ネオプロセリン®)を平均週2回,筋注により投与した。9例中6例で有効であり,3例ではその効果が不明か無効であった。下垂体ホルモン有効例では,検査所見において以下のような傾向が認められた。血清総蛋白値が低く,内分泌検査では,T3,LH,FSHの低値がみられ,またLHRH負荷試験におけるLH値,およびTRH負荷試験におけるTSH値は,神経性食欲不振症全体における値よりさらに低値を示す傾向がみられた。臨床症状面では,下垂体ホルモン投与により,体重増加のみならず,摂食異常,心気症状,接触性,情動不安定などの改善も認められた。したがって,下垂体ホルモンは,神経性食欲不振症の中で視床下部-下垂体系の機能異常がより著明な例に対して試みられる価値のある治療法であると考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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