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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻1号

1990年01月発行

研究と報告

マリファナ喫煙により誘発された分裂病の1例

著者: 植木啓文1 高井昭裕2 児玉佳也2 宮地幸雄3 吉村剛4

所属機関: 1岐阜県精神保健センター 2岐阜大学医学部神経精神医学教室 3美濃加茂病院 4岐阜市民病院

ページ範囲:P.71 - P.79

文献概要

 抄録 マリファナ喫煙に引き続いて幻覚妄想状態,情意鈍麻,意欲低下状態等を呈し,喫煙中止後も長期にわたってそれらの症状を持続させた症例を報告した。症例の薬物依存はpolydrug型であり,対人的にはasocial型に属しており,薬物依存の予後は楽観できない状況にある。精神病理学的には,分裂病とマリファナによるいわゆる中毒性精神病との鑑別,その際,とりわけ分裂病性の情意鈍麻,意欲低下状態と無動機症状群(amotivational syndrome)との区別が問題となったが,入院時の対人接触性,軽快時の人格変化,精神医学的負因,心理検査所見,さらに妄想出現時のsettingの要因の有無などから,本例は分裂病がマリファナ喫煙によって誘発されたものと推定された。また,マリファナ使用者の年齢のピークが分裂病の好発する青少年期にあたり,特定の脆弱性を持った個体におけるその誘発の可能性が考慮される必要がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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