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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻10号

1990年10月発行

文献概要

研究と報告

抗精神病薬投与中にビペリデン筋注の乱用が生じた6例

著者: 武藤隆1 融道男1 鈴木茂2 樋掛忠彦3 野沢征一郎3

所属機関: 1信州大学医学部精神医学教室 2諏訪湖畔病院 3長野県立駒ケ根病院

ページ範囲:P.1049 - P.1056

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 抄録 biperiden筋注の乱用がみられた6例を報告した。乱用者は全て分裂病で,年齢は31歳から63歳で,男5人女1人であった。2例はpassive pleasureにとどまっていたが,2例ではactive pleasureとなっており,残りの2例はpassive pleasureからactive pleasureへの移行過程と考えられた。active pleasureの状態が認められる4例は若く(30歳台),うち2例で物質乱用歴,1例にアルコール飲用歴が認められた。使用されている抗精神病薬との関係は,passive pleasureでは力価の強い薬が引金となっているが,active pleasureでは関連がないように思われた。観察された精神作用は,6例すべてで気分高揚作用として集約されるものであり,psychedelic experienceを求めていると思われる症例はなかった。最高25〜30mg/日使用した例においても中毒性の錯乱状態を呈する症例はなかった。我々の観察の範囲では離脱症状は認められなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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