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下垂体腫瘍摘出術の既往をもち退行期に幻覚妄想を初発した2症例
著者: 梅野一男1 森本修充1
所属機関: 1九州大学神経精神医学教室
ページ範囲:P.1057 - P.1063
文献購入ページに移動 抄録 下垂体腫瘍摘出術の既往をもち,退行期に幻覚妄想を初発した2症例について報告した。両症例に共通する病歴・症候上の特徴は,1)前頭到達法による下垂体腫瘍摘出術を受けている,2)術後数年の正常な生活の後に,夜間に顕著な幻視で発症した,3)睡眠周期の異常を認めた,4)精神症状の内分泌学的な説明は困難である,5)両症例の受けた術式では上部脳幹への侵襲の可能性が高く,術後の精神症状の出現が多い,などであった。これらの事実から,今回の症例の呈した幻覚妄想を,脳脚幻覚症を代表とする一群の上部脳幹の障害による幻覚妄想と対比させながら,両症例の幻覚妄想の成立過程について考察を加え,一部退行期の幻覚妄想の成因についても推論を試みた。
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