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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻10号

1990年10月発行

文献概要

研究と報告

初発分裂病者の精神科施設初診までの経路について

著者: 富永泰規13 太田保之2 塚崎稔1 中根允文1

所属機関: 1長崎大学医学部精神神経科 2長崎大学医療技術短期大学部 3医療法人友愛会田川療養所

ページ範囲:P.1079 - P.1085

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 抄録 90例の初発分裂病者とその家族を対象にして,精神科施設受診経路を調査し,次のような所見を得た。
 1)対象症例の81%が精神科施設を初診するまでに,家族が単独で,あるいは家族が病者を伴って,何らかの援助機関と接触をもっていた。2)援助機関との接触の有無,精神科施設初診までの期間の長短,病者の症状に対する理解という3要因からの解析により,受診経路は次の3群に大別されることがわかった。すなわち,①分裂病発症早期に精神科施設を受診しながらも,病者の症状を精神疾患であると理解しにくい群,②精神科施設初診までに,ある程度の時間を要し,家族のみが何らかの援助機関と接触をもつ中で,精神疾患であるとの理解を深める群,そして,③分裂病発症後,精神科初診までの期間が長く,それまでに病者を伴って何らかの援助機関と接触をもっていたにもかかわらず,精神疾患であると理解しにくい群,という3群である。これらの所見に,若干の考察を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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