研究と報告
精神分裂病患者の病前行動特徴(第3報)—小・中学校時代の行動特徴と臨床事項との関連
著者:
高桑光俊1
岡崎祐士2
原田誠一3
増井寛治4
金生由紀子5
熊谷直樹5
佐々木司6
高橋象二郎3
飯田茂7
所属機関:
1多摩病院
2長崎大学医学部精神神経科学教室
3東京都立中部総合精神保健センター
4松沢病院
5東京大学医学部精神医学教室
6神経研究所付属晴和病院
7埼玉医科大学医学部精神神経科学教室
ページ範囲:P.1095 - P.1102
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抄録 DSM-Ⅲの精神分裂性障害患者27人を対象として,小・中学校時代の通知表を資料として抽出した病前行動特徴と以下の臨床事項との関連を調べた。臨床類型(DSM-Ⅲの病型,生活臨床の生活類型,井上の3類型)・臨床症状(SCL)・経過(発病年齢,生活障害など)。その結果全般に,臨床事項に対して病前行動特徴は弁別的な関連は示さなかった。ただし,井上の経過による類型のうち寛解,再発をくり返す「再発型」とみなされる少数例や,『軽躁』,『不安』,『強迫』など一部の症状群は,一部の病前行動項目との関連を示した。それは,これらの類型や症状をもつものが病前から,独自の特徴をあわせもっている可能性を示唆するものと考えた。