icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻10号

1990年10月発行

文献概要

研究と報告

脳損傷患者の持続的注意力の障害と主観状態,知的機能,及び日常情意行動の関連

著者: 坂爪一幸1 平林一2 金井敏男3

所属機関: 1早稲田大学心理 2リハビリテーションセンター鹿教湯病院心理科 3リハビリテーションセンター鹿教湯病院理学療法科

ページ範囲:P.1111 - P.1119

文献購入ページに移動
 抄録 持続的注意力障害を臨床的に測定するために考案した等速打叩課題は,一定の速度(毎秒1回)での打叩動作を一定の時間(5分間)継続させるもので,10秒毎の打叩数を記録し,平均打叩数とSDを指標とした。注意の持続に障害があれば打叩速度の動揺が大きくなると考えた(坂爪ら,1986,1987)。本課題を用いて持続的注意力障害の具体的病像を明らかにするために,①主観状態,②知的機能,③日常情意行動との関連を検討した。結果は,打叩課題で困難を示した者では,①精神的・身体的不全感(疲労感)が強く,②心的負荷の大きい課題や継続的関心を要する問題に困難を呈し,③「意欲と注意」に関する行動に問題がみられていた。以上から,注意の持続力の障害は主観的・認知的・行動的側面の変調状態として反映されてくることが示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?