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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻10号

1990年10月発行

文献概要

「精神医学」への手紙

●Letter—触覚幻覚症taktile Halluzinoseそれとも皮膚寄生虫妄想Dermatozoenwahnなのか

著者: 伊東昇太1

所属機関: 1昭和大学藤が丘病院精神神経科

ページ範囲:P.1144 - P.1144

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 「気が狂っている」Verruckt-heitことと「虫がわく」Ungezieferbefallという関係で別のいい方があり,einen Vogel habenはその一つでこれは鳥を飼っているのではなく「完全にいかれている」との日常用語で,さらにeinen Kafer habenは甲虫を持っているのではなく,いらいらして気のふれていることを指す。英語でも似た表示があり「鐘楼のこうもり」bats in the belfryとは気の変ることをいう。アフリカの黒人用語(Kisuaheli語)で神経質で,いらいらしている人を「彼は『まっかな蟻のズボン』rote Ameisen in der Hoseをはいている」という。
 蟻で気づくのが「蟻走感」Ameisenlaufenで,専門用語はパレステジーである。これはかゆいばかりか,うずうず,むしゃくしゃする意味で臨床的事実に一致する。虫も例外でない。「虫が頭にいる」Wurmer im Kopf habenとは気まぐれをいい,気の変わることの表示である。悪魔秡い,妄想を棄てさせることをdie Wurmer aus Naseziehenといい,このような文脈は精神病と毒虫が深い関係にあることを指す。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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