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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻11号

1990年11月発行

文献概要

研究と報告

境界型人格障害の内的メカニズムの検討—ボーダーラインスケールと臨床体験からの分析

著者: 町沢静夫1 佐藤寛之1

所属機関: 1国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部

ページ範囲:P.1179 - P.1185

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 抄録 境界型人格障害43名についての臨床経験及びその内32名のボーダーライン・スケールの反応の分析から彼らの内的メカニズムを検討した。Kernbergの主張するsplittingは確かに多くみられたが,特異的ではなかつた。また,Mastersonの見捨てられ感は特異的に境界型人格障害に認められた。次に23歳以上と22歳以下に分けてボーダーライン・スケールの反応率をみると,見捨てられ感は高年齢層のほうに多くみられた。したがって見捨てられ感は二次的症状である可能性が示唆された。このスケールの反応から年齢別に判別分析を行うと低年齢層では衝動性と自己同一性の障害の項目で判別力が高かった。高年齢では不安やうつ気分,見捨てられ感の項目で判別力が高かった。このことからこれらの気分は衝動性が年齢に従って内向してゆく結果だと考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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