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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻11号

1990年11月発行

文献概要

研究と報告

Bulimia Nervosaの既婚例について

著者: 笠原敏彦1 傳田健三1 田中哲1

所属機関: 1北海道大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.1187 - P.1194

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 抄録 結婚歴を有するBulimia Nervosaの9例について検討した。その結果は次の通りである。1)発病の心理機制では,結婚前発症例は美容上の目的による減量が契機となった例が多く,結婚後発症例では家庭生活上の問題や家族との対人的葛藤による心理的ストレス,出産後の肥満解消のための減量失敗などがみられた。2)症候学的には,発症年齢と知能テストの所見を除いて,食行動異常の内容,性別,精神症状や問題行動,身体症状や体重減少などの点で未婚例との差は認められなかった。3)結婚によって症状が改善に向かう例もあれば,逆に結婚生活の問題が食行動異常の誘因となっている例もあった。また,食行動異常が習慣化・固定化し,頻回の嘔吐や著しい体重減少を呈している例は難治であった。逆に,食行動異常が機会的・状況反応的で,情緒的に安定した結婚生活をしている例ほど,症状の改善が得られやすいと思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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