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研究と報告
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抄録 幻覚妄想状態を呈したため33歳で受診,36歳で死亡したCockayne症候群と考えられる1女性例について,その精神症状の変遷を中心として報告した。症例にみられた精神症状は,初期には,対人接触などは良好であるものの,妄想知覚様体験や幻聴など,精神分裂病によるものと類似した体験を有していた。しかし,経過とともに訴えはまとまりを欠いた断片的なものへと変化し,また途中から幻視が出現するなど,次第に脳器質疾患としての特徴が顕著となっていった。Cockayne症候群は神経病理学的には脱髄性疾患と考えられているが,従来の報告は小児科領域よりのものが多く,病勢の進行が速く知能も白痴級にとどまる例がほとんどであった。その点,本例は知能障害が比較的軽度な成人例であったことが特徴といえ,これが生産的症状を呈す精神病像を発現せしめた基礎となっていたと考えられた。
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