文献詳細
研究と報告
一卵性双生児の一方にみられた精神分裂病の1例
著者: 岡村仁1 若宮真也2 山中敏郎3 更井啓介4
所属機関: 1広島大学医学部神経精神医学教室 2国立呉病院精神科 3マツダ病院神経科 4サライ神経科
ページ範囲:P.1215 - P.1220
文献概要
症例は17歳の女子高校生で,精神分裂病の発症をみたのは双生児の妹である。妹と姉の発達史,病前性格,生活史を比較した。その結果,妹のほうが出生時体重が軽かった。心理検査にみる両者の性格の基本構造は極めてよく似ていた。しかし,妹は高校進学後まもなく級友から“いじめ”を受けたのに対し,姉は友人関係などにも問題なく学校生活を送っていた。以上から,妹においては,元来敏感で自我が弱く,不安,恐怖を示しやすいという性格特徴を基盤として,“いじめ”という心理・社会的ストレスが発症に強く関与したと推察された。
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