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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

発症後60年間経過した脳炎後パーキンソニズムの2剖検例

著者: 水上勝義1 牧野裕2 入谷修司2 浜元純一2 小林一成2 池田研二2 小阪憲司3

所属機関: 1筑波大学臨床医学系 2東京都立松沢病院精神科 3東京都精神医学総合研究所神経病理

ページ範囲:P.1221 - P.1227

 抄録 発症後60年というきわめて長期間経過した脳炎後パーキンソニズムの2剖検例を報告した。臨床的には2症例とも特有の性格変化とともに,パーキンソン症状や眼症状などの神経症状を呈したが,パーキンソン症状は末期にはきわめて高度にまで進行した。また神経病理学的には,本症例の病変分布や病理像は従来の報告とよく合致していたが,黒質の神経細胞脱落がきわめて高度である点と,炎症所見や進行性病変がほとんど認められなかった点が特異的であった。通常は長期にわたって認められる脳炎後パーキンソニズムの黒質における炎症所見や進行性病変は,本症例のようにきわめて長期間経過した症例においては終焉していることが示唆された。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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