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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻12号

1990年12月発行

研究と報告

アルコール依存症者と健常者との中年期の危機状態の比較

著者: 長尾博1

所属機関: 1活水女子短期大学

ページ範囲:P.1325 - P.1331

文献概要

 抄録 中年期の危機状態を定義し,この定義に基づいて男女別の中年期の危機状態尺度を作成した。この尺度は,40歳代から50歳代までの健常者132名(男性76名,女性56名)を対象に調査を行い,因子分析法を用いて作成された。その結果,男性用尺度は,7因子が,女性用尺度は,5因子が抽出され,尺度の安定性や妥当性も検定された。また,この尺度を用いて中年期のアルコール依存症患者(男性30名,女性16名)と上記の健常者との比較を行った結果,男性アルコール依存症患者は,(1)過去を回顧しない傾向,(2)死の不安,(3)将来の絶望,(4)時間的展望の欠如,(5)疲労感,(6)若い世代に対する劣等感,(7)生殖性の欠如,一方,女性アルコール依存症患者は,(1)死の不安,(2)今までの生き方の後悔,(3)自立することの不安,(4)時間不信という特徴が強いことが明らかになった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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