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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻2号

1990年02月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病患者の病前行動特徴(第2報)—通知表による分裂病患者とその同胞および感情病患者の行動評価の比較

著者: 増井寛治1 岡崎祐士2 原田誠一3 高桑光俊4 佐々木司5 熊谷直樹6

所属機関: 1東京都立松沢病院 2長崎大学医学部精神神経科学教室 3東京都立中部総合精神保健センター 4多摩病院 5神経研究所付属晴和病院 6東京大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.163 - P.170

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 抄録 小中学校時代の通知表を資料として精神分裂病患者21人とその同胞21人および感情病患者11人を比較し,分裂病患者により特徴的な病前行動特徴の同定を試み,感情病患者の病前行動特徴についても調査した。方法は前報で報告した行動項目一覧を用いたが対象に感情病患者が加わることで結果的に新たに9つの行動項目の追加が必要であった。前報と同じ評価基準で,盲検的に行動項目の評価を行い3群間で比較した。その結果,分裂病群は「責任感がある」などの7つの教師による肯定的評価項目で他の2群よりも有意に少なく,「緊張が強く場に溶け込めない」などの3つの否定的項目で他の2群よりも有意に多かった。これらは,分裂病患者にかなり特異的な病前行動特徴と考えられた。感情病群は他の2群と比較して4つの肯定的項目と4つの否定的項目に有意差があり,いずれも感情病群に多く認められた。これらの項目は下田の執着性格の行動的標識とされている記述に類似していた。以上の有意差を認めた項目の有無で得点化すると,分裂病患者と感情病患者の分布はかなり明瞭に分離した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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