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研究と報告
短期反応精神病の精神科救急病棟における臨床的検討
著者: 林直樹1
所属機関: 1都立松沢病院
ページ範囲:P.171 - P.179
文献購入ページに移動 抄録 本研究では短期反応精神病(DSM-III-R)の43例(男22例,女21例)が調査された。その結果,全例に何らかの発病契機,心因が認められ,この疾患群に心因反応の側面のあること,病相期間が最長15日とごく短く,その病像は激しい情動や不安,および意識障害の特徴を伴っており,多くの点で分裂病の典型像と異なることが示された。この調査対象は異常情動群(D群:興奮,錯乱を示すDe群と寡動が主徴のDr群),幻覚妄想群(P群:急性妄想状態を呈するP1群と夢幻様状態を示すP2群)とに分類された。さらにそれらはD群;前駆期から焦燥感などの気分変調が多く認められ,女性,若年者に多く,未熟な感情優位の反応傾向を認む,P1群:強い不安が前駆し病相期体験に病前の不安,葛藤の内容が反映される,敏感や自信欠乏などの性格傾向が発病と関連づけられうる,P2群:睡眠不足,疲労など身体的負荷を含む広い範囲の負荷で発症し,病相期の体験内容,性格,心因などの間の関連性が乏しい,などと特徴づけられた。そしてこれらはそれぞれが異なる病態からなり,多種の要因が複雑に関与して成立しているものと推定された。
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