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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻2号

1990年02月発行

文献概要

研究と報告

補綴による下顎前方固定の睡眠時無呼吸症候群に対する治療効果

著者: 坂本哲郎1 朱雀直道2 山鹿憲2 安武りか2 小鳥居湛1 中沢洋一1

所属機関: 1久留米大学神経精神科 2久留米大学口腔外科

ページ範囲:P.181 - P.186

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 抄録 5例の睡眠時無呼吸症候群(SAS)に対し,prosthetic mandibular advancement(以下PMA)による治療を行ったところ,acetazolamide(以下AZM)とほぼ同等の効果が認められた。
 PMAとはprosthesis(補綴)によって,下顎を3〜5mm前方に引き出すことにより,上気道の閉塞を軽減または予防する方法で,1984年にMeier-Ewertらによって提唱されたSASの新しい治療法である。PMAにより,5例平均で無呼吸出現数は367.2回から226.0回,無呼吸指数は64.1から32.3,無呼吸出現率は50.8%から22.9%と著明な改善を認め,その効果はAZMとほぼ同等のものであった。一方,睡眠に対しては,AZMより大きな改善効果をもたらし,いびきに対しても著明な効果を認めた。また,安全性も高く,患者への負担も比較的軽いなど,PMAは長期の使用にも耐えられる有用性の高いSASの治療法のひとつと思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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