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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻2号

1990年02月発行

文献概要

研究と報告

脳挫傷後の多彩な精神器質性症候群に対してインシュリン・ショック療法が著効を呈した1例

著者: 岸本年史1 竹林和彦1 北村博1 寺田誠1 山岡一衛1 飯田順三1 平井基陽1 井川玄朗1

所属機関: 1奈良県立医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.187 - P.191

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 抄録 症例は受傷時17歳右利き男性,昭和59年7月初の脳挫傷後重篤な意識障害が続いた。意識回復後は疎通性がなく,発動性の低下,拒食を含む前頭葉性拒絶症,超皮質性運動失語などの一連の精神症状を呈し,TRH,sulpiride等を投与したが効果はなかった。Carbamazepine投与にて接触性はわずかに改善したが,摂食を拒否する前頭葉性拒絶症などの症状は固定し,やむなく昭和61年1月より,インシュリン・サブショック療法を行ったところ,食事を摂る,意欲が出現するなど発動性も回復し,簡単な単語の自発言語も出現した。この療法を契機として退院可能となるなど著明な効果を得た。通過症候群から移行したところの精神器質性症候群および,インシュリン・ショック療法について若干の考察を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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