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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻3号

1990年03月発行

特集 向精神薬の見逃されやすい副作用と対策

抗精神病薬長期使用時の心臓機能,眼などの変化

著者: 小椋力1 国元憲文1 岸本朗2

所属機関: 1琉球大学医学部精神神経科学講座 2鳥取大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.228 - P.235

文献概要

 抗精神病薬chlorpromazineが精神科領域で使用され始めてから,ほとんど40年が経過した。この間,多くの抗精神病薬が登場し,各種の副作用が見出され,副作用対策は向精神薬療法において欠かせない知識と技術となった。副作用のうち長期使用時に現れる心臓機能,眼,皮膚などの変化も既に早くから知られ,心電図異常については1960年代から1970年代前半でほぼ実態が明らかにされ,眼の角膜・水晶体の混濁についてもほぼ同じ頃に注目され,調べられており,その後,この領域においてとくに目新しい研究結果の報告はないように思われる。それは,実態がほぼ明らかになったことと,その研究結果が診療の場で生かされ,これらの副作用が減少した可能性がある。
 一方,他の著者が本特集で述べるような新しい副作用が気付かれ,それに注目するために,以前から知られている副作用に対する関心が多少とも低下した可能性はないであろうか。心臓機能,眼の角膜・水晶体の混濁などは,以前から知られていても自覚症状が乏しいために,見逃されていることはないであろうか。新薬は登場してきているが,これらについて長期間の影響は調べられているであろうか。抗精神病薬療法は長期化しやすく,すでに20〜30年間にわたって抗精神病薬を服用し続けている患者も存在する。これらの患者に対する長期服薬(超長期とでもいえるかもしれない)の影響はどうであろうか。加齢変化に長期服薬が何らかの悪影響を及ぼす心配はないのであろうか。以前から知られている副作用の出現機序は解明され,解決法が見出されたのであろうか。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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