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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻3号

1990年03月発行

文献概要

特集 向精神薬の見逃されやすい副作用と対策

抗うつ薬によるけいれん発作

著者: 福西勇夫1

所属機関: 1香川医科大学精神神経医学講座

ページ範囲:P.253 - P.258

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 抗うつ薬の投与中にけいれん発作のみられる症例を時折経験するが,chlorpromazine,zotepine等の抗精神病薬によるけいれん発作ほどよく知られていない。日常の臨床においても,抗うつ薬投与中にしばしばみられる,口渇,便秘をはじめとした症状に注意が払われがちで,けいれん発作は見過ごされやすい副作用の一つと言えるかもしれない。
 抗うつ薬投与によるけいれん発作の報告は,諸外国では比較的数多くみられており1〜11,14〜21,23,28〜33,35),M. Brooke(1959年)3)のimipramine大量投与によるけいれん発作の記載が最初である。その後も,同様の報告1,2,4〜11,14〜21,23,28〜33,35)は散見されているが,本邦ではまとまったデータは少なく,ここ数年になりいくつかの報告がなされているのが現状12,13,24,25,34)である。これらの一連の報告において1〜21,23〜25,28〜35),注目すべき点としては,抗うつ薬によるけいれんの出現頻度は比較的高率で,抗精神病薬の頻度と比べても大差がないことがあげられる。とくに,抗うつ薬の多剤併用,大量投与,他の抗精神病薬との併用時に,その頻度がより高値を示す傾向がみられている。精神科以外の領域においても,抗うつ薬投与の機会が増加傾向にある昨今では,抗うつ薬による副作用の一つとしての,けいれん発作を再認識する必要性があるのかもしれない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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