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特集 向精神薬の見逃されやすい副作用と対策
内科領域で使われる薬剤の副作用—とくに精神神経症状について
著者: 八木剛平1 渡辺衡一郎2
所属機関: 1慶応義塾大学医学部精神神経科 2国家公務員共済組合連合会・立川病院神経科
ページ範囲:P.281 - P.289
文献購入ページに移動ところで精神科医が内科系薬剤について最も必要とする知識は,精神障害を起こすおそれのある医薬品に関するものであろう。それは第1に,身体疾患に併発した精神疾患の診療を依頼された際に,それがその時に使われている薬によるものか否かの判断を下す(つまり原因診断)にあたって不可欠である。第2に,精神疾患に併発した身体疾患を治療する際に,精神疾患を悪化させないような薬を選択するにあたって必要である。第3にそれは,新しい精神科治療薬の発見や精神疾患の生化学的理解のために役立つであろう。クロルプロマジンが精神科に導入されるきっかけになったのは,それが麻酔の前投薬としてはじめて用いられた際に,術前の患者が無関心状態になるという観察であったし,抗結核薬イソニアジドによる多幸症がMAO阻害型抗うつ剤発見の端緒となり,降圧剤のレセルピンによるうつ状態がうつ病の生化学的モデルとなったこともよく知られている40)。
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