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研究と報告
ネオロギスムと分裂病の世界—言語の解体という視点から
著者: 羽根晃1 小出浩之2
所属機関: 1長浜赤十字病院精神科 2岐阜大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.357 - P.363
文献購入ページに移動 抄録 分裂病的世界についてのこれまでの精神病理学的理解を一歩すすめることを目的に,ネオロギスムを核にして分裂病的世界が再構成された様子が極めて明白な一慢性分裂病者の経過を示し,この症例に即して,ソシュールのいう「言語の解体」を拠り所にして,分裂病の発症,分裂病的世界の再構成について考察した。なお我々平均人の世界との相違についても若干の考察を加えた。
1)分裂病の発症とは,我々の間主観性の基盤である言語の解体と見なすことができる。そのとき,患者は相互にばらばらとなったシニフィアン,すなわちコードなき差異の場へと陥る。2)ここからの世界の再構成はネオロギスムを核として行われる。その結果分裂病的妄想世界や思考化声的な幻聴が成立する。3)しかしこの再構成から洩れるものがある。それが真の幻聴であり,それはシニフィアン相互の差異がコード化される直前の場で生じる。
1)分裂病の発症とは,我々の間主観性の基盤である言語の解体と見なすことができる。そのとき,患者は相互にばらばらとなったシニフィアン,すなわちコードなき差異の場へと陥る。2)ここからの世界の再構成はネオロギスムを核として行われる。その結果分裂病的妄想世界や思考化声的な幻聴が成立する。3)しかしこの再構成から洩れるものがある。それが真の幻聴であり,それはシニフィアン相互の差異がコード化される直前の場で生じる。
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