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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻5号

1990年05月発行

文献概要

研究と報告

共通した原家族体験が認められた遅発性Anorexia nervosaの2症例の検討

著者: 川上香1 松本英夫1 深沢裕紀1 石川元1 大原健士郎1

所属機関: 1浜松医科大学精神神経医学教室

ページ範囲:P.475 - P.482

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 抄録 思春期以降発症した遅発性Anorexia nervosaの2症例を検討した。症例Aは30歳のとき,次女を出産したが,その後拒食に陥り,40kgあった体重が10年後には26k9に減少した。症例Bは33歳のとき,長女の反抗期と,医師の減量指示を契機に減食を始め,46kgあった体重が15年間に25kgに減少した。
 これらの2症例は発症が緩徐で経過が長く,また,両症例とも両親の不仲と父親の不在,見合い結婚後も母親への依存が続く,などの共通した家族背景を持っており,特異な家族力動が示唆され,家族療法にも反応がみられた。両症例は思春期を女性性獲得を達成しないまま過ごし,結婚した結果,母親としての対処をせまられたとき発症したと考えられた。このとき,やせは母親役割の放棄ととらえることができた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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